これは、タンガロイの営業担当がお客様とともに歩んだ成功への道である。
ソリッドエンドミルの“もったいない”の解消で、ランニングコスト80%削減を実現
取材協力有限会社カナイ精密
タンガロイ営業担当
若杉 健太郎Kentaro Wakasugi
- 出身
- 愛知県
- 社歴
- 新卒入社4年目
- 趣味など
- 車やバイクが趣味。特技はスノーボード。モノづくり全般に携わりたいと思い入社。
小さな切込みでの加工に最適な工具とは?
有限会社カナイ精密の金井代表とのお付き合いはもう1年半ほどになる。
従来は金型部品のワイヤー放電加工や成形研削を行っていらっしゃったが、BT40マシニングセンター導入後は、前工程である機械加工にも対応できるようになり、一気通貫での加工が可能となったようだ。
弊社では、新しく工作機械を導入する際の工具選定の手間を省きつつ、工具をお安く購入いただける「新規ツーリングプロモーション」を実施している。そこでツーリングを担当させていただいたことから、アフターフォローなど頻繁にお邪魔するようになったのだ。
今回は、切込みの小さな加工における工具費改善の話である。
有限会社カナイ精密では、ソリッドエンドミルを使ってHRC30程度の合金鋼の加工を行っていたが、下記のような課題があったようだ。
- 金型に使用される特殊鋼材で、組織中に耐摺動成分が入っているため、硬さのわりに、工具摩耗が進みやすい
- ソリッドエンドミルを使用しているため、工具費が高くつく
ソリッドエンドミルは、「多様な加工を行える」「切れ刃長が長く様々な切込みに対応できる」といった点から使い勝手がよく、“使いやすい工具ランキング”であれば間違いなく上位に入る存在だ。
ただ今回の場合、2~3mm程度と小さな切込みでの加工であったため、長いソリッドエンドミルでは、工具がびびりやすく条件も十分にあげられていなかった。
一言でいうと、もったいない状態であったのだ。
そこで、刃先交換式直角肩削りカッタ『TungForce-Rec』の04サイズを提案することにしたのである。
『TungForce-Rec』で、ランニングコスト80%削減
『TungForce-Rec』04サイズは、業界最小となる工具径ø6mm、最大切込み4mmに対応する刃先交換式直角肩削りカッタである。インサート底面に施されたV字型形状により、大きな心厚と厚いバックメタルを確保、小径でも高いボディ剛性を実現できる製品である。
ø8 TungForce-Recの高能率溝加工
今回の課題解決にぴったりな製品であるという自信があったため、すぐに提案、テスト加工を行っていただくことにした。
高価なソリッドエンドミルから刃先交換式に切り替えることで、工具費低減につながることは明白であったが、これほどまでの能率改善につながるとは嬉しい誤算であった。
ø8 エンドミル 突出し長違いでの耐びびり性比較
今回の改善ポイント
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ランニングコストが80%低減した
ソリッドエンドミルと比べ、インサートサイズの小さな刃先交換式工具に変えたことで価格が大幅に抑えられ、80%程度の低減となった。
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切削条件が1.6倍に
ソリッドエンドミルを使用していた際は、その突き出しの長さが故、切削速度60m/min程度での使用が限界であった。『TungForce-Rec』04サイズでは、100m/minでの加工が可能となり、大幅な能率改善につながった。
この成功を皮切りに、切込みの小さな加工を中心に工具径ø6~20mmの『TungForce-Rec』を活用いただけるようになった。
現在は、鋼、ステンレス鋼加工に最適な『AH3225』材種をメインに据えているが、より耐摩耗性の高いCVD材種『T3225』のラインナップの要望もいただいている。開発メンバーと連携して実現できるように動いていきたい。