これは、タンガロイの営業担当がお客様とともに歩んだ成功への道である。
能率アップへの挑戦
取材協力
株式会社関根鉄工所
タンガロイ営業担当
漆舘 強Tsuyoshi Urushidate
- 出身
- 福島県いわき市
- 社歴
- 中途入社 10年目
- 趣味など
- 好きな食べ物はラーメン。好きな芸能人は中村文昭さん。
発電機用部品の高能率化への挑戦
少し暖かくなってきた3月下旬。新製品開発のかじ取りをする部署から、営業部に異動してきた私は、引継ぎのあいさつ回りをしていた。
久しぶりに感じる高揚感と緊張感を抑えながら、発電機用重要部品の加工を手掛ける関根鉄工所様を目指した。
「能率アップを目的とした改善に取り組みたい」
発電機用部品の加工の話である。
この部品は,一部特殊な寸法公差があるため、関根鉄工所様にしかできないノウハウが凝縮された特殊な加工であり、今後生産量が増えるという情報を入手していた。だから、できるだけ能率をあげたいのだ、と。
先方の熱い思いと“宿題”を持ち帰った私は、営業所で頭を抱えた。もともと私の専門は旋削加工で、今回のフライス加工ではなかったからだ。
とは言えそうも言っていられない。今まで培った自分の経験と勉学をつなぎ合わせ工具を選定し、次の3アイテムの提案を行うこととした。
現状品に対し、切込み量を増やすことでパス回数を減らすことが可能な肩削り工具DoForce-Tri、Tung-Tri 。
そして、送りを上げることで加工時間短縮を狙った高送り工具DoFeedである。いずれも現状に対する倍速加工の提案だ。
初めての提案は3つとも撃沈
― 1か月後。私の思惑はあっけなく外れた。
肩削り工具では、現状の切込み角45°に対し、提案品は90°のため抵抗が高く、うまく使えない。
高送り工具Dofeedは、評価は行って頂いたが、パス回数が現状より増えること/現状品よりも加工音が大きいことが影響し、採用は不可との厳しい評価結果を頂いた。
そこで、次は高能率加工と現状同様の切り込み角45°をベースとし、正面フライス工具DoTripleMillを提案することにした。
発売して間もない工具だったこともあり、正直不安だった。そのため前部署のフライス工具担当の意見を何度も聞いて、切り込み回数や量を検討し、加工時間短縮を目指した。現場の方々の力強いお力添えもあった。
(カッタ:TASN13J125B38.1R07 インサートSNMU1307ANEN-MJ AH3135)。
最新工具で、能率1.3倍アップ。⇒加工時間が100min → 66minに短縮!
― 10日後。
社長のもとを訪れると、少し笑って(いるように見え)た。
今回の改善ポイント
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1本あたりの加工時間を34min減↓(100min→66min)
能率1.3倍アップで、1ロットの加工時間が1ヶ月→0.75か月に
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仕上げ工具の寿命が約2倍に向上!
前工程である荒加工後のワーク寸法が安定したことで,仕上げ加工用工具の負荷が減り,荒加工だけでなく,仕上げ加工も安定した。
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主軸負荷が約15%低減
現状のブレーカなしインサートに対して,DoTripleMillのブレーカ効果が十分に発揮された。
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安定加工の実現
ダブテール機構を付与したDoTripleMillのインサートにより、現状インサートで発生していた突発欠損の発生がなくなった。また工具損傷が正常摩耗であるため,主軸負荷が安定。これにより寿命推定がしやすく、生じた余裕時間に他の業務を行うことが可能になった。
課題が解決できたこと。お客様が心から喜んでくださったこと。努力が報われたこと。
一度に来るたくさんの気持ちいい感情に、高揚感を覚えた。
でも、何よりも嬉しかったこと。
それは、お客様の間で業務改善に対する前向きな雰囲気が出てきた、という話を聞いたことだ。
私たちの仕事は、お客様のモノづくりや挑戦に寄り添うこと。それはきっと、「現状に満足せず、今よりもっと良くしたい・できる」という前向きな姿勢がベースにあってのものだ。
最終的には、お客様の工程間でタンガロイ工具を横展開して頂いたり、関係会社様へのご推薦もいただいた。
現在は、別工程である穴あけ加工の業務改善のため、ヘッド交換式工具DrillMeisterのご提案をしているところである。
今回ご紹介した製品はこちら
平面加工
DoTriple-Mill(ドゥー・トリプル・ミル)
3 種類のインサートから選択できる豊富なバリエーションの正面フライスカッタ
ダブテイル構造のインサートクランプによる高信頼性