いまさら聞けない!? フライス加工のキホン(後編)切削幅と切り取り厚さの関係

『いまさら聞けない!? フライス加工のキホン』としてフライス加工での、転削工具(カッタ)の最適な刃数を選ぶポイントである『同時切削刃数』、カッタの性能を左右する『切込み角』に関してご紹介させて頂きました。

※『いまさら聞けない!? フライス加工のキホン(前編)』記事はこちら
https://tungaloy.com/jp/technical-knowledge/milling-tool_selection/

※『いまさら聞けない!? フライス加工のキホン(中編)』記事はこちら
https://tungaloy.com/jp/technical-knowledge/milling-tool_selection2/

 

 

今回は『いまさら聞けない!? フライス加工のキホン(後編)』として、切削幅と切り取り厚さの関係について詳しくご説明いたします。

本記事のポイント
  • 切り取り厚さの概念を知ることで適切な送り設定ができる!

切り取り厚さとは

『切り取り厚さ』とは切れ刃に直行する厚み、下の図では『t』を指します。
切り取り厚さは、1つの切れ刃が切る取る際の切りくずの厚みになります。
この切りくずの厚みをコントロールすることは、切削抵抗・寸法調整、または工具寿命の管理などを行うのに重要な要素になってきます。

 

 

前回の記事内で、切り取り厚さは『刃当り送り(fz)』と『カッターの切込み角(sinα)』に影響されることをご紹介しました。

※詳しくはこちら
https://tungaloy.com/jp/technical-knowledge/milling-tool_selection2/

切り取り厚さ(t)=刃当り送り(fz)×切込み角(sinα)

 

実は、『切り取り厚さ』はその他パラメーターも影響されます。

『切り取り厚さ』に影響を及ぼすパラメーター

フライス加工における切り取り厚さの計算式は下記の式で与えられます。
切り取り厚さhmaxには、「刃当たり送り:fz」はもちろん、「カッタ径:DC」「切削幅:ae」「カッタの切込み角:KAPR」が影響します。
超硬工具が切削可能な最大切切り取り厚さhmaxは0.5mm程度とされ、良好な切削を行うのに最適な切り取り厚さは0.05~0.3mm程度が目安です。

『切り取り厚さ』の計算にも役立つ切削加工計算アプリMachining power

『切り取り厚さ』のは目安は分かるけど、加工条件毎に都度計算するのが面倒!
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簡単な入力で、切り取り厚さや同時切削刃数に切削力や動力計算までサクッと計算できます。
※Machining powerでは切屑厚みと記載されていますが切り取り厚さと同じ意味になります

無料ですので、是非お役立てください♪

Machining power(無料)

 

『切削幅/カッタ径』を考慮した送り条件設定

計算の面倒な切り取り厚さも、Machining powerを使用することで簡単に実施頂けます。
切り取り厚さを考慮した上で『刃当たり送りfz』を決定している方は、多くないと思います。
特に、『切削幅/カッタ径』の比を考慮した上で『刃当たり送りfz』を決定する場合は少なく、この比率を考慮することで一歩先行く送り条件の設定が可能です。

 

『切削幅/カッタ径』が変化した場合の試算例
一例として、『切削幅/カッタ径』が変化した場合の試算例を示します。

ご覧のように。『切削幅/カッタ径(ae/DC)』も切り取り厚さに大きく影響します。
『切削幅/カッタ径』が小さくなりがちな ”刃長を長く使用した切削幅の小さい肩削り加工””サイドカッタによる加工”では切り取り厚さが薄く、実はまだまだ刃当たり送りを増やせる場合も多いです。

ae/DC=10%の場合

 

ae/DC=100%の場合

※Machining powerでは切屑厚みと記載されていますが切り取り厚さと同じ意味になります

 

切り取り厚さを意識したカッタの選定や切削条件の決定を頂くことで、一歩進んだミーリング加工が行えます。
便利な「Machining power」を併用しながら最適な条件選定を実施ください!

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