タンガロイ社長が語る環境対策

ビジネスチャンスにもできる
多様な環境対策に貢献

代表取締役社長 木下聡

本記事は月刊生産財マーケティング2023年4月掲載分をWeb用に再編集したものです。

CO2排出量46%削減が目標

 日本政府は「2050年にカーボンニュートラル(炭素中立、CN)を実現」との目標を立てており、タンガロイでもその目標達成から逆算する形で、「30年に13年比で二酸化炭素(CO2)排出量を46%削減」との目標を明文化しています。

しかし、経営的には大変勇気が要るのも確かです。コストとのバランスは重要ですし、そもそも数値化自体が簡単ではない。そのため、コストの最小化も同時に進めねばなりません。お客さまもまた、新たな発想でビジネスを進めねばなりません。この矛盾の解消、両立はビジネスチャンスにもできるのです。

工具ユーザーは幅広く、各社ともCO2削減に取り組んでいます。われわれは自社とお客さま両方のCO2削減に貢献しなければなりません。 SDGs(持続可能な開発目標)への意識が高まり、持続可能性の重視が進みます。その変化に対応すべく、社内では目標を明確に数値化して周知を図っています。社員の改善活動とはコスト 低減であり、それが環境負荷の低減にも直結します。

消費電力は可視化し、ほぼ全ての電灯はLEDにし、モーターはインバーター化している。省エネ性能が高い最新設備の導入にも意識的です。そして最も重要なのは、生産効率を上げることだと思っています。

すてる、つかう、つくる、はこぶ

われわれは「すてるとき」「つかうとき」「つくるとき」の3つの提案に力を入れています。さらにはもう一つ、「はこぶとき」にも関わります。

「つくるとき」はすなわち製造時。旋削加工用インサート「ISO-EcoTurn (エコターン)」をはじめ、インサートの小型化で製造時のCO2排出量、廃棄重量(すてるとき)、運搬重量(はこぶ とき)を削減できます。切削性能は従来と同等です。小型化で生産に使うエネルギーは小さくできますが、製造技術の確立は精度だけでなく、性能を安定化するのが難しく、苦労して開発しました。

「つかうとき」は顧客の生産効率の向上です。多方向外径旋削加工用エ具「AddMultiTurn(アド・マルチ・ターン)」をはじめ、高送りによる高能率加工で加工時間を短縮し、電力使用量を削減できます。また転削工具「AddDoFeed(アド・ドゥ ・フィード)」をはじめ、多刃化による同様の効果も追求しています。

こうした活動を含め、あらゆる側面でタンガロイのファンを増やしたいですね。環境対応も一つで、他に製品力、技術提案など、さまざまな側面に力を入れて取り組んでいます。

企業として生き残るために一番重要なのはスピードです。マクロの状況は変えられませんから、対応スピードが決定的な分かれ道になるのです。タンガロイは1997年、日本の 工具メーカーで最初に環境規格認証の1S014001を取得しました。CNへの取り組みも業界では先んじました。今後もスピードを持って瑣境対応に取り組み、お客さまに貢献する提案を積極的に続けていきます。

「つくるとき」のCO2削減例