めねじの加工によく用いられるタップ加工は便利な反面、折れやすい・折れた時のワークの被害が大きいというデメリットもあります。今回はそんなめねじのタップ加工について、解決策をご紹介します。
- タップが折れる原因と対策がわかる
- スレッドミルのメリットとプログラム作成ツールがわかる
タップが折れていませんか?
ねじ切り加工では、一般的にタップが使われます。しかし、タップは高負荷がかかると折れやすいというデメリットがあります。加工中にタップが折れると、取り除く作業が非常に困難であり、ワークピースを傷つけるリスクもあります。このような場合、せっかく高価な材料を使用しても、不良品となる可能性が高まります。
タップが折れる原因とは?スレッドミルとの比較
タップが折れる主な原因はいくつかあります。
- 切りくずの絡み:タップはねじを連続的に加工するため、大量の切りくずが発生し工具に絡みつく。
- 難削材や焼き入れ鋼などの硬い材料:硬い材料では、タップにかかる負荷が大きくなり、工具が折れる。
- 細いタップ:直径が細いタップは、特に高負荷に耐えるのが難しく、折れるリスクが高くなる。
同じねじ加工を行うスレッドミルと比較したのが下表です。スレッドミルは連続切削ではなく断続的に切削を行うため、折れにくいという利点があります。
タップ | スレッドミル | |
---|---|---|
切削負荷 |
主軸電流値 (A)
ねじ深さ
Vc: 10 m/min, ステップ間隔: 2mm 切削抵抗大・深さと共に増加 → 工具破損・ワーク破棄に繋がる危険性あり → 薄肉部でねじ形状が変形する |
主軸電流値 (A)
ねじ深さ
Vc: 95 m/min, fz: 0.02 mm/z 切削抵抗小・安定 → 工具破損の心配が少ない → 薄肉部でも高精度なねじ形状が得られる 使用機械: BT30 ねじ仕様: Rc1/4 |
切りくず | 連続加工となるため、切りくずが伸びやすい
→ 工具への切りくず巻き付き・除去作業 → 切りくず嚙み込みによる突発破損の危険 |
断続切削のため、切りくずが細かく分断
→ 非定常作業によるチョコ停の防止 → 夜間無人運転での安全性 |
加工方法の違い | 機械の固定サイクルを使用。
工具を上下させるのみ |
機械のヘリカル補間機能を使用
円弧補間G02,G03と深さ方向Z軸を同時に動かしながら加工を行う →プログラム作成がやや複雑 |
工具破損時の対応 | タップドリルによる除去が必要。 ワーク破損することも。 |
折れても破片を取り除くだけ。 再加工可能。 |
下穴不要でねじ切り可能な正面切れ刃付きスレッドミル!
スレッドミルの中でも、特に生産性を改善できる工具をご紹介します。
今回ご紹介する底刃付きスレッドミルは下穴不要で穴あけ・ねじ切り・面取り工具の集約が可能な便利な工具となっています!
タップ | 正面切れ刃付き MTECD | |
---|---|---|
切削油吐出口
(ピッチ1mm未満用は、外部給油用のみ)
面取り用切れ刃
|
||
加工方法 |
穴あけ工具
面取り工具
タップ
穴あけ・面取り・タップの3種類の工具・行程が必要。 |
穴あけ・ねじ切り加工
面取り加工
(加工開始)
(加工終了)
穴あけ・ねじ切りを一つの工具で加工できます。 |
下穴 | 必要 | 下穴いらず |
スレッドミルのプログラム作成が簡単に!
「タップがよく折れる」「工具集約したい」という方にお勧めな正面切れ刃付きスレッドミルですが、プログラム作成が面倒で導入を迷われるケースが多いです。
そこでタンガロイでは、ねじ仕様・規格を入力するだけで正面切れ刃付きスレッドミルの工具選定からプログラム作成までお任せできるチャットボットツールを提供しています。これにより、プログラム作成の手間を大幅に削減し、スレッドミルの優位性を活かすことができます。
※本チャットボットはメートルねじの「めねじ」のみとなります。そのほかのねじについてはこちらからお問い合わせください。
【ねじ仕様から選ぶ】チャットボットはこちら
【ねじ規格から選ぶ】チャットボットはこちら
1. 設定画面
最初のステップは、ツールに必要なパラメータを設定することです。以下の項目を入力してください。
- Material (ISO): 使用する材料のISO規格を選択
- Pitch: ピッチの値を選択
- Nominal Diameter (mm): ねじの公称直径を入力
- Depth (mm): 深さを指定
- Chamfer Yes/No: 面取りの有無を選択
- Chamfer Width (mm): 面取り幅を入力(面取りを選択した場合)
- Select Language: 言語を選択(例: 日本語)
※ねじ規格から選ぶボットを使用すればねじ規格から条件選択することも可能です。
すべてのパラメータを入力した後、Saveボタンをクリックして設定を保存します。
2. プログラム生成
設定が完了したら、Generate Programボタンをクリックして、プログラムを生成します。生成されたプログラムは画面に表示され、簡単にコピーや使用が可能です。設定をリセットしたい場合は、右上のリセットボタンを押すと設定画面に戻ります。
プログラム作成チャットボットツールは以下より利用可能です!
ねじの寸法から選ぶ
ねじの規格から選ぶ
生成されるプログラムでは、工具は動画のように動きます。
まとめ
この記事では「タップとスレッドミルの違い」「プログラム作成チャットボット」についてご紹介しました。
「タップが折れやすくて困っている、、、」という方にはぜひ底刃付きのスレッドミルをお試しいただいてみてはいかがでしょうか?
プログラム作成チャットボットもぜひご活用ください!