最高の品質、最大の生産性をー 新材種SH7025が切り開く自動盤の新たな生産基準
自動盤加工に求められる重要なミッション
自動盤加工の世界では、毎日、精密な部品生産のチャレンジが繰り広げられています。
生産技術者や現場オペレーターの皆様にとって、トラブルフリーな稼働と部品品質の一貫性は、日々の業務における最優先事項です。しかし、現実は常に理想通りには進まず、高品質な部品を効率的に生産し続けることは大きな課題です。
この課題に立ち向かうため、私たちは「生産の安定稼働」、「部品品質の安定化」、そして「工具交換頻度抑制による機械稼働率の最大化」という3つの重要な要素に焦点を当てます。これらは、自動盤加工の効率と品質を最適化するための基盤となります。
重要なミッションを阻害する3つの加工課題
加工課題1: 加工面品位不良
加工数が増えるにつれて、加工面の品位や面粗度が悪化し、これが生産の安定性を脅かします。主な原因は、インサートの摩耗進行と凝着の発生にあります。
加工課題2: 寸法精度不良やバリの発生
バリの発生や寸法精度不良は、製品の品質を低下させ、生産ラインのトラブルを引き起こす原因となります。 これらの問題は、インサートの摩耗進行、凝着の発生、そしてチッピングが主な原因です。
加工課題3: 切りくず処理不良
切りくずの処理不良は、機械のチョコ停やワーク傷の原因となり、生産効率を著しく低下させます。これは、主にインサートの摩耗進行が原因です。
これら加工課題の解決に焦点を充て、タンガロイは自動盤向け新材種「SH7025」を開発しました。
耐摩耗性の向上
SH7025の最大の特長の一つは、その優れた耐摩耗性です。これは、加工中の摩耗を大幅に減少させ、工具の寿命を延ばし、生産の安定性を高めます。
SH7025
キーテクノロジー:硬質なTiCN被膜の適用とTiCN膜の柱状晶化により高い耐摩耗性を付与
- 工具換頻度の抑制
- 加工面品位の維持
- 寸法精度不良発生の抑制
従来品
摩耗の進行
- 加工面品の悪化
- 寸法不良の発生
耐凝着性の改善
耐凝着性に優れるTiCN被膜により、高い仕上げ面品位を実現します。
SH7025
凝着の発生抑制
従来品
凝着の発生
耐欠損性の向上
耐欠損性の向上は鋭利な切れ刃を保つのに重要です。シャープエッジが求められる自動盤加工では特に重要で、鋭利な切れ刃の維持が切りくず処理不良を抑制し、チョコ停やワーク傷を防ぎます。
SH7025
積層TiAlNがクラックの進展を抑制
従来品
クラックが母材に到達して、刃先が欠ける
SH7025は、これらの革新的な特長を通じて、自動盤加工における新たなスタンダードを築きます。次章では、実際のユーザー事例を通じて、SH7025がどのようにこれらの加工課題を解決し、製造現場のパフォーマンスを向上させるかをご紹介します。
SH7025による課題解決事例
加工面品位の解決事例
部品: | LM ガイド |
被削材: | SUS316 / X5CrNiMo17-12-3 |
インサート: | DCGT11T302FN-JP |
材種: | SH7025 |
切削条件: | Vc = 150 (m/min) f = 0.03 (mm/rev) ap = 0.1 (mm) 加工形態: 外径旋削 クーラント: 湿式 |
効果: 他社品では切れ刃への凝着により加工面が悪化していた。SH7025は凝着の発生を抑制し加工面品位を維持、工具寿命の延長が行えた。
バリ解決事例
部品: | シリンダ部品 |
被削材: | SUS303 |
インサート: | DCGT11T302FN-JP |
材種: | SH7025 |
切削条件: | Vc = 95 (m/min) f = 0.05 (mm/rev) ap = 0.1 (mm) 加工形態: 外径旋削 クーラント: 湿式 |
効果: 他社品は境界部のチッピングの発生によりワークにバリが発生していた。SH7025は優れた耐チッピング性を発揮し、2.5倍の寿命延長を実現!
切りくず処理不良解決事例
部品: | ボルト |
被削材: | SS400 |
インサート: | DCGT11T304FN-JS |
材種: | SH7025 |
切削条件: | Vc = 93(m/min) f = 0.04 (mm/rev) ap = 1.6 (mm) 加工形態: 外径旋削 クーラント: 湿式 |
効果: 他社品は刃先の摩耗進行に伴い切りくず処理性が不安定になり、切りくずの絡まりが発生し機械停止が問題となっていた。SH7025は摩耗進行の抑制が可能であり、切りくず処理性が安定、機械停止の発生を抑制し、最終的に2.1倍の工具寿命延長を実現!