スレッドミルの加工方法

スレッドミルの加工方法

スレッドミルを使用した内径ねじ切り加工方法

ここではマシニングセンターでよく行れる内径ねじ切りの加工方法を紹介します。

スレッドミルは右勝手の工具が一般的です。またその他転削工具同様にダウンカットが第一推奨であるため、

・工具の回転方向:正回転

・工具が移動する円弧の回転方向:反時計回り

での加工を推奨します。

 

またスレッドミルは右ねじ・左ねじを同一の工具で加工が可能です。その際の工具垂直方向の移動方向は右ねじ・左ねじそれぞれ下記の関係になります。

・右ねじ:下から上に移動

・左ねじ:上から下に移動

 

加工手順

スレッドミルを使用した内径ねじ切り加工では下記の手順が必要です。

Step1:下穴径(めねじ内径)の確認

Step2:下穴の加工

Step3:プログラムの作成と加工

Step4:ねじ精度(有効径)の微調整

Step1:下穴径(めねじ内径)の確認

スレッドミル加工の前に下穴の加工が必要です。下穴径がねじ精度に重要なめねじ内径になるため、事前にめねじ内径とその公差をご確認ください。

Step2:下穴の加工

下穴径(めねじ内径)確認後、その穴径・公差が加工可能なドリルを使用して加工をお願いします。

Step3:プログラムの作成と加工

下穴加工後スレッドミルにて加工します。上記で推奨しました方法(ダウンカット)になるよう加工プログラムを作成し加工の実施をお願いします。

Step4:ねじ精度(有効径)の微調整

加工後にねじ精度(有効径)の検査をお願いします。スレッドミルはヘリカル半径を変更することで、有効径の微調整が可能です。

検査後に所望の値から外れている場合は補正をお願いします。

 

Step4補足 スレッドミル加工時の狙い径の考え方

パターン1:安全な加工方法
当社のスレッドミルは、工具呼び径を前提(工具径Φ5のスレッドミルの場合はΦ5.0)にヘリカル径を計算し加工を実施頂くと有効径の公差下限側で加工される設計になっています。
また工具やツーリングの突出し長が長い場合、工具は径小方向にたわみ、有効径は小さくなります。スレッドミルの工具呼び径を前提にヘリカル径を設定頂いた上で試加工頂ければ、少なくとも有効径の公差上限を超えて加工するケースは少ないので、径小分を補正して再度加工を実施頂けます。

パターン2:時短できる加工方法
もし1発加工での精度検査合格を狙う場合は、公差域の中間値を呼び径に加えてヘリカル径を定義頂けますと、有効径公差の中間公差程度で加工されることが予想されますのでねじゲージの検査に合格しやすいです。